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メロドラマ企画再開! 

実は半分忘れかけていたんだぜ! 的な、約10か月振りのメロドラマ更新ですー!
うおお見事に書き方忘れてるー!!

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32:ケータイ電話――学園モノ書きさんに100のお題より
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 実は、おれは携帯電話というものを、いまだかつて持っていたことがない。
 おれの場合、別になくても困らないから、必要がないだけなのだ。家に帰る時間がいつもまちまちだとか、親が極度に心配性だとか、そういう事態はおれの生活にはない。家に帰る時間は決まっているし(バス通学だから、いつも同じような時間に家の最寄りのバス停に着く。ちなみに、家の最寄りのバス停は家から徒歩5分の場所にあるため、寄り道する時間――というか、寄り道するような施設がない)、だいたい、心配をする側の親が不在なことの方が多い(生物系の研究職だから仕方がないとはいえ、子どものころはずいぶんさみしい思いをした)。
 ついでにいえば、わざわざ携帯電話を使って連絡を取りたい相手も、連絡を取るべき相手もいない。おれに友達が少ないとかそういうことではなく、だいたいの連絡が学校の場でできてしまうからそんなに電話やメールのお世話になる機会がないというだけの話なのだ。実際、携帯電話を持っている友人たちとは、家の固定電話やパソコンのメールのアドレスを教えてはいるが、その手段でのやりとりで不便を感じたことはない。必要のないものにはお金はかけられないし、お金をかけようとも思わない。
 結果、おれは携帯電話を持たない、今時珍しい高校生となった。
「……天然記念物のような奴だな、つくづく」
「よく言われる。慣れた」
「ほんとうに、ケータイなくて困ったことねーの?」
「うーん、あんまりないかも……」
 眉間にシワを寄せて、信じられない、というような顔をしながら、彼女はおれを見ている。だって実際そんなに困っていないし、困ることといえば……やっぱりない。強いていえば、彼女にそんな風にまっすぐ凝視されると、ちょっと困ったようなきもちになるくらい。……でもこれは携帯電話とは関係なさそうだ。
「オレはめちゃくちゃ困る! ベルーガ、たとえばオレがお前を遊びに誘おうとしてもだな」
「お前の話は聞いてない」
 横から口をはさんだおしゃべりなおれの友人を、彼女はぴしゃりとたしなめた。……彼――陣内雪比古、というのがそのおしゃべりな彼の名前だが――にしゃべらせておいてくれれば、おれがずいぶんラクなのに、彼女はどうしてもおれに話をさせたいらしい。
 すこし真剣に、「携帯電話がなくて困った状況」を記憶の中からひねり出そうとしてみる。ひねり出す間の時間稼ぎに、おれの口からは独り言のように、または言い訳のように言葉が漏れる。
「別に、連絡なら家の電話があるし、メールだってパソコンでできるし……」
 でもやっぱり、ないものはないのだ。特に携帯電話がなくて困ったことはみあたらなかった。
 ――そう、その時は、みあたらなかった。

「吉野ー、昨日のアレ、どーなったっけー?」
「は? 昨日メールで送ったろうが! ちゃんと見てなかったのか?」
「あれ? そーだっけ?」
 彼と彼女――頭脳明晰・容姿端麗、加えて品行方正とは言い難い口と行儀の悪さが特徴である彼女の名前は吉野すみれという――が学校行事の打ち合わせに、携帯電話を使っているのは容易に想像できたことだった。委員長とか副委員長とかいう面倒な役を負っているふたりだから、連絡事項も多いらしい。陣内は、携帯電話を操作して、件のメールを探しているようだった。
「あー、あったあった。てかさ、吉野のメールって何かにつけお小言書いてあるから読み飛ばしちまうんだよなー」
「アンタがしっかりしてないからだろうが!」
 おれとしては、メールに小言を書く方も書く方だけど、読み飛ばす方も読み飛ばす方だよな、と思う。

 また別の日には、こんなやりとりが見受けられた。
「陣内ッ! 何だ昨日のアレは!」
「えーなんのことぉー?」
「とぼけんじゃねーよ! 着信履歴何件も残しやがって! オマエのケータイ着信拒否すんぞ!」
 彼が彼女にイタズラを仕掛けるのも、今となっては当たり前の光景になった。しかし、何件も着信履歴に残るほど電話するとは、そこまでするかと我が友人ながら感心するやら、呆れるやら。
「白石、アンタもなんとかいってやってくれ! この馬鹿、用もないのに私の携帯に電話入れてくるんだ」
「うーん……ユキちゃん、何件入れてたの?」
 おれ――名前は白石イルカ、見た目は痩せているけれどこれでも剣道部所属だ――は彼のことを長く深い付き合いの中で「ユキちゃん」と呼んでいる。雪比古(ユキヒコ)だからユキちゃん。そう呼ぶようになったきっかけは、彼にとっていささかトラウマティックらしいので、ここではあまり触れないでおくけれど。
 彼女は、携帯の画面を睨んで、苦々しげに吐き捨てる。
「10分間に15回。信じられるか? 1分間に1回以上の割合だぞ!」
「……吉野ちゃん、遠慮することないよ。着信拒否しちゃえば?」
「ちょ――こら、ベルーガ! お前、他人の恋路を邪魔する気か!」
 彼は勢いよくおれに食ってかかってきたが、おれも軽く受け流す。ちなみにおれは彼からベルーガと呼ばれているけれど……これも詳しくは別の機会に。べつにトラウマティックではないけれど、少し説明が長くなるから。
「いや、邪魔っていうか」
 そういいながら、おれは彼女に目配せする。彼女は呆れすぎて絶句してしまったらしい(顔には嫌悪の表情がにじみ出ている)。
「それ、ユキちゃんが本気ならストーカー的行為にあたると思うんだけど……わかってる?」
 彼女はぶんぶんと首を縦に振り、今度は彼の方が絶句した。
 しばらく、彼に「ストーカー」という言葉は禁句になった。お互いに冗談で言ったとはいえ、よっぽどショックだったらしい。

「吉野、ちょっとこれ見てみろよ」
「なんだ? わ、なんだこれ。合成だよな?」
 ああやって彼が彼女やおれにおもしろい画像サイトなんかを見せてくれるのも、ほぼ日常のことなのだが。
 ――なんだか、ちょっと疎外感を感じる。
 彼と彼女があの小さな画面を覗き込んでいるのを見ると、胃のあたりがカサコソと音を立てるように疼く。彼らが前日にした他愛もないメールでのやりとりの話を聞くと、喉に小さな鉛がつかえたようなきぶんになる。同じ携帯サイトのアドレスが、彼らの携帯電話の中に入っているのかと思うと、ひとりだけ取り残されたようなさみしさを覚える。授業中や休み時間に、彼らのどちらかが携帯を操作していると、誰からのメールかな、と勘繰ってしまう自分がいることに気付く。そうやっていて彼女がくすっと笑ったりすると、もうダメだ。すごく落ち着かなくなって、イライラしはじめるようになった。

 そんな折、珍しく両親がふたり揃った夕食の席で、父親が機種変更するついでにおれにも携帯電話を買い与えようかという話が持ち上がった(どうやら、父さんは携帯電話を誤ってホヤの水槽に水没させたらしい。いったいどういう経緯でそうなったのだろう)。携帯電話会社が新しくサービスをはじめたとか、料金プランを変更するだとかいったような話のついでに、今までも何度かそういう話はあったのだが、おれはことごとく両親の申し出をはねのけてきた。けれど、今回はどういうわけか、おれはあっさりと両親の申し出を受け入れてしまった(両親はあからさまに安堵の表情をした。いざというとき連絡がつかなかったらと、おれのことを心配していたようだ……今まですこし申し訳ないことをしていただろうか)。
 さて、数日後に携帯電話を所有する身となって、おれは彼と彼女に報告をし、ついでに携帯電話の番号とメールアドレスを訊いた。
「そーかベルーガ、お前もとうとう時代に追い付いたか! で、どんなのにするんだ? 色は?」
 と、彼は目を輝かせ、
「はい、これ私の連絡先。……操作とかわかんないことあったら、わかる範囲で教えてやるから」
 と、彼女は丁寧な字で電話番号とアドレスの書かれた紙を手渡してきた。
「でも、なんで急にケータイ持つことにしたんだ?」
 彼女は不思議そうにおれを見つめる。おれは、父親の機種変更のついで、と、嘘にならない程度の理由を説明した。というか、ほんとうのところ、自分でもなぜ携帯電話を欲しいと思ったのかわからない。――連絡したい相手ができたからかな、という理由には、気付かないふりをしておく。

 休日に父親と携帯ショップに出向き、携帯電話を購入して家に帰って、早速メールを試してみることにした。初めてのメールの文面をどうするかは些細で難しい問題ではあったが、初めてのメールをする相手は、誰にするか疾うに決めていた。
「えーと……濁点は……このキーか」
 携帯電話のキーを見ながら文字を打たないと、すぐに打ち間違えてしまう。パソコンのタッチタイピングと同じく、慣れればキーを見なくても打てるのだろうけれど、なにぶん携帯電話でメールを打つのは初めてだから、どこに何の機能があるかまだ把握しきれていない。
「ふーっ……」
 結局、かんたんなメールひとつ打つのに5分程度を費やしたおれは、深いため息をついてメールの作成を終えた。宛先の欄に電話帳から呼び出したアドレスを入れて、送信ボタンを押す。ちゃんと届くだろうか、どんな返事が返ってくるだろうか――と思う間もなく、携帯電話のメール着信音が鳴る。
 早い。いや、いくらなんでも早すぎないか?
 受信ボックスの新着メールをひらくと、目に飛び込んできたのは「Undeliverable」の文字。つまりどういうことだ。本文には、おれがさっき送った文面がはりつけられている。アドレスが間違っていたのだろうか。メモと電話帳を見比べて確認するが、間違っていない。
 ――仕方がない。

 たるるるる、という発信音を鳴らしてから、すこしの間があり、電話はつながった。
『もしもし』
 怪訝そうな声。耳慣れた声だけれど、すこし上擦っている気がする。ノイズが混じっているせいだろうか。
「あ、白石ですけど……吉野ちゃんのケータイですか?」
『なんだ、白石か。びっくりした、知らない番号からかなり長い着信だったから』
「……ユキちゃんの新手のイタズラだとでも思った?」
『まさか。どっちかっていうと、オレオレ詐欺とか、そっちかと思った』
 おれは彼女にメールが送れなかった件について話をした。
「うん、ユキちゃんには送れたんだけどね。吉野ちゃんの方に送れなくてさ」
『……私、アドレス間違えて教えたかも。ちょっとメモ読んでくれない?』
 アドレスを読み上げていると、途中で彼女はあ、と声を上げた。
『そこ。ハイフン抜けてる』
「あ、そうなの? じゃ次これで試してみるよ」
『うん。そう。ごめんな、びっくりさせて』
「いや、こっちこそ。この程度で電話したりして」
『これくらい、なんともないよ。わかんないことあったら、わかる範囲で教えてやるっていったろ』
「うんありがと」
『それにしても、人生初のケータイで、初めてのメールの相手が陣内とはね』
 普通親とかで試さないか? と彼女は笑う。おれも彼女につられて笑いながら、ほんとうはきみにメールしたかったんだけどな、とは、言わずにおく。
「でも、人生初のケータイで、初めての電話の相手は吉野ちゃんだよ?」
 一瞬、沈黙が下りた。
『そ、か』
 彼女はすこし戸惑ったような声で返答してきた。でも、その声に嫌悪は含まれていない。
『なんか、そういわれると照れる。いや、照れる必要なんかないんだけどさ』
「いや、おれ実はちょっと緊張してた」
 彼女は、かすかに笑った。
『じゃあ、はじめましてとでもいえばよかったのかな?』
「そうかもね――吉野ちゃん」
『ん?』
「はじめまして。これからもよろしく」
『……ん。こちらこそよろしく』
 妙に改まった挨拶をしてから、ふたり同時に吹き出した。
「新年のあいさつみたいだね」
『明日も学校で会うっていうのにね』
 そのあとも、おれと彼女は話を続けた。

 翌日、教室に入ると、おれを見つけた彼は開口一番言い放った。
「ベルーガ! なんでメール返してくんないんだよー!」
 あ。
「ごめん、忘れて……いや、気付いたら夜中で……」
「夜中って……オレがメールしたの8時くらいじゃなかったか?」
 結局あの後もおれと彼女は話し続け、そろそろ寝ないと明日にひびく、というような時間まで話していた。なにをそんなに話すことがあったのかはいまでも謎だけれど、妙に心が浮き立ったのは覚えている。
 そうこうしている間に彼女も教室に入ってきた。ほどなく担任教師が教室に入ってきて、朝のホームルームをはじめた。
 他の学生の合間を縫って斜め前に見える彼女は、軽く欠伸をしている。おれは携帯を開いて、メール画面を呼び出した。
「昨日は遅くまで電話ごめんね」
 返信は、すぐにきた。
「べつにアンタのせいで寝不足ってわけじゃないし。私朝弱いから。気にしないで」
 これ以上携帯電話をいじっていて、先生に目をつけられたらたまらない。そっと制服の上着に携帯をすべり込ませていると、ちょっと眠たげな、しかし笑顔でこちらに目配せする彼女と目が合った。
 次に電話するときは、もうすこし短い電話にしよう。そう思いながらおれは、携帯で速くメールを打てるようになりたいな、と思うのだった。

(C)KERO Hasunoha
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あとがき。

授業中に書いたものを改稿しただけなんだぜ!(最低(突っ込みどころ多すぎる
ちなみに、改稿前は、メールが送れないオチで終わってました。そしたら、地下室やまいまいに
「すっぱい」だの「もっとメロドラマ的なオチがいい」だのさんざん言われたので改稿しました。
したよ! 改稿したけど甘くなんなかったよ! 無理だよ私甘さ控えめがすきだから!(ぁ
お砂糖成分は地下室女王の担当分に期待してください……。

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[ 2008/11/27 04:17 ] 小説系 | TB(0) | CM(0)

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