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なんかみなぎってきた! 

勢いとかその場のノリで二次創作のUPを続けていたら、なんだかみなぎってきた管理人です。
改稿しないでUPするのは一種の羞恥プレイだとわかっているけど、この辺りからはそれなりに今の
文体に近くなって気がします。気だけかも知れません。てなわけで、
TOS二次創作です! ぬるいジニプレで、フラノールデートですよ! ネタばれ考慮なし!

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とある冬の日、とある高台で――テイルズオブシンフォニアより
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 とまっていたとけいが、うごきだす。

 特に冬だからという訳ではない。フラノールという町の特性上、ここはいつでも寒いのだ。降りしきる雪は、氷の精霊――セルシウスの影響で、滅多に止むことは無い。今も小降りではあるが、雪はふわふわと舞い落ちてくる。おだやかに、されど、確実に。

「寒い……」

 本当に寒い。一応防寒具を着込んではいる。でも、やはり、寒さは容赦なく私たちを覆うようにして、目には見えないけれどここに存在しているのがわかる。
 はりがねで刺されているようだ、と私は思う。はりがねで刺されたことなど無いけれど。

「大丈夫? プレセア?」

 この街に降り積もっている雪と同じ、白銀の髪色をしたハーフエルフの少年――ジーニアスが、私の顔を覗き込みながら心配そうに言う。ちょっと困ったような、それでも、彼の心の底にあるものを忠実に表したような、そんな表情。

「大丈夫です。寒いな、と、思っただけですから」

 私は、できるだけ彼が安心できるように言う。私が思うに、彼は少しばかり心配性だ。コレットさんを心配するロイドさんにはとてもとても敵わないけれど、他のメンバーよりも他人を気遣うのが上手なような気がする。
 おとなだな、と私は思う。彼は、私よりも幼いはずなのに、とも思う。

「それに、少し……うれしいです」
「? 寒いと、うれしいの?」
「はい。寒いと感じるのも、随分ひさしぶりのような気がするから……」

 降り積む雪を眺めながら言い、ふと、今までのことが――ジーニアスや、彼らに会ってからのことが思い出される。
 彼らと出会い、抑制鉱石で作った要の紋――エクスフィアの力をコントロールする制御装置のようなもので、天使言語を組み込んだ紋章が彫ってある――を付けて貰ってはじめて、じぶんが感情を失っていたことを、からだの成長が止まっていたことを、それがエクスフィアのせいであることを、――助けたかった筈の父が、もうこの世には居ないことを、知った。
 そもそもこんなことになったのは、私がロディルから受け取ったエクスフィアに、体の組織を結晶化させる効果を持った要の紋が付いていたからだったからだ。それは単なる手違いから起きたことではなく、「エクスフィア研究にちょうどいい実験材料」として、仕組まれて渡されたものだった。もちろん、これも後になって知ったことだ。私はエクスフィアを受け取ったとき、なんのためらいもなくそれを装備した。無知とはこうも恐ろしいものなのかと思った。
 だから私は、ついこの間まで、じぶんの感情や感覚を長いこと忘れていた。その間にあったことも、あまり多くは憶えていない。病気の父の代わりに働けるよう、エクスフィアを欲したのは否定しない。けれど、そのために、こんなことになるなんて全く予想外のことだった。

「あ……そっか……。ごめん……ヤなコト思い出させちゃった……」
「いいえ、ジーニアス、気にしないで下さい。……寒いですから、早く済ませてしまいましょう」

 わざわざ寒い中宿屋の外にいるのは、食料買い出しのためだ(他のメンバーは宿で休んでいる。レアバードの運転は結構疲れるのだ)。風邪を引かないようになるべく早く帰ってくるよう、彼の姉であり、医術にも長けているリフィル先生に言われている。もっとも、食料の買い出しを頼んできたのは、パーティの中で一番料理失敗回数の多い彼女なのだが。
 とにかく、私たちは並んで坂の上にある道具屋を目指して歩き出した。



「えーと、ポテトとニンジン、タマネギ……と、ライスも残り少なかった筈だから、まとめて買っていこう。……あ、レッドソディとブラックソディも貰える?」

 ジーニアスは料理が上手だ。上手という言葉では不十分だと思われる程、美味しいごはんを作る。パーティの中では、彼のごはんがいちばん美味しい、と思う。リーガルさんのごはんも洗練されていて美味しいが、

「……プレセア、お金払ってくれる?」
「え。……あ、はい」

 ぼうっとしていた頭を現実に引き戻すと、ジーニアスが両手いっぱいに食材の入った袋をいくつか抱えて立っていた。かなり無理な格好で、財布をこちらに差し出している。その手から私は財布を受け取り(そのとき、ジーニアスは袋を取り落としそうになった)、食材の代金を支払う。……結構な額になってしまったようだった。
 店員がお金を確認している間、私はふと上を見上げて――初めて、もうひとつの坂の上に、出っ張った棚のようになっている場所があることを知った。

「……すみません」
「はい、なんでしょう?」

 おつりを渡しながら、店員は愛想良く言った。可愛い笑顔だ、と私は思う。

「この上には……何か、あるんですか?」
「上……? あぁ、マーテル教会の聖堂があるんですよ。テセアラで一番綺麗な聖堂だとかで、わざわざ遠方から結婚式を挙げに来る方もいる位なんです。一番最近お式を挙げたご夫婦は、メルトキオからだったとか」
「有名なんですね」
「はい。それに、聖堂の正面玄関前には、このフラノールの街を見渡せる高台があるんです。運が良ければ、向こうの山脈まで見えますし。綺麗ですよ。……まぁ、毎日見てれば流石に飽きますけど」
「そうなんですか……教えてくれて、ありがとうございます」
「こちらこそ。お買い上げありがとうございました!」

 財布をポーチに仕舞って、袋を抱えたジーニアスを見ると、彼の顔はもう既に真っ赤だった。そこで私は、そういえば彼にはあまり力が無かったことを思い出す。魔術師だから仕方が無い、と私は思う。こういうことは、私の方が向いている。

「ジーニアス。私も持ちます」
「えっ、い、いいよ! ボクひとりで大丈夫!」
「……でも、とても重そうです」
「う……。じ、じゃあ、半分持ってもらえる……?」

 半分、と言って渡された袋は、それだけでも結構な重みがあった。単純計算してこれの二倍量を持って歩くのは、ジーニアスには不可能だっただろう、と私は思う。
 坂の少し手前まで歩いて来て、私は提案――に近い願望――を口に出す。

「……行きたい所が、あるんですが」



 さっきまで抱えていた荷物を、私たち二人の足元にまとめて置き、高台に立つ。
 そこから見る景色は圧巻だった。残念ながら山脈までは見えなかったけれど、雪は(珍しいことに)止んできたので、街を見渡すには申し分ない視界だった。

「綺麗だね……」

 ほぅ、と溜め息をついて、ジーニアスが言う。
 でも、私は素直に同意できなかった。口をついて出たのは、こんな言葉。

「……止まっているみたいです」
「……え?」

 たしかに、綺麗だ。建物に積もっている雪も、道端に積もった雪も。これほど綺麗な街は見たことが無い、と私は思う。純白に包まれた街は、他の汚れた何物をも寄せ付けない美しさを持っている。
 けれど。

「時間が、止まっているように……見えませんか」

 けれど、どこかさみしげで、かなしげで。
 そう思った途端、私は、じぶんの身体の変調を感じた。心拍数が増えている。身体が思い通りにならないくらいに硬直して、手から全身へと震えが伝ってくる。しかしそれが、寒さのせいではないのは明らか。原因は、もっともっと内面的な――捕らえられたら、もう二度と這い上がれなくなりそうな、この感覚は。

「……この街は、綺麗です。でも……綺麗だけど……とても、閉鎖的で……」

 以前のじぶんを見ているようで。

「なんて、言う……か……」

 とても、とてもこわい。
 これは恐怖だ、と私は思う。
 私は、一体なにをこわがっているんだろう?


「プレセア……」

 ふっと、何かあたたかいものが頬に触れて、かなしばりが解けた時のように身体の硬直がなくなり、震えもおさまって、その頬に触れたあたたかい何かが、ジーニアスの手だということに気付くのに、数秒を要した。そして、何故ジーニアスが私の頬に触れてきたのか――いつの間にか私は泣いていて、それをジーニアスは拭ってくれようとしたのだということを理解するのに、更に数秒かかった。
 ジーニアスは、真っ直ぐ私を見て、言う。

「たしかに、プレセアの言う通りかも知れない。この街に限らず――世界は、閉鎖的だよ。どこか、ボクらを受け容れてくれがたいものがある」

 少し間を空け、ジーニアスは、視線を街の方に逸らした。精悍で賢そうな横顔だ、と私は思う。……実際、彼はとても賢いけれど。

「理由はいろいろあると思うけど、『変化を望まないこと』もそのひとつだと思う」
「変化を……望まない……?」
「うん。変わろうとすれば、凄く疲れるし、無理して変化しなくても、変わらないってコトは、それだけで安心に繋がるからね。だから、世界の大多数の人たちは、抗えない筈の時間による風化も、できるだけ無い方が良いって思ってる。……恒常性に安定を求めるのは、自然の摂理なのかも知れないけど……でも恒常性に縋ることは、本当の意味で、安定でもなんでもない。それは、……プレセアのことで、良くわかった」

 変わらないコトで、精神的な安寧を図る。私にも、覚えがない訳ではない。ジーニアスの言っていることはただしい、と私は思う。
 ただ、変わらないコトの――成長していないこの身体に気付いたときの恐怖も、私は、文字通り身をもって体験した。
 ふと、じぶんの心拍数が通常の回数まで減っているのに気付いた。涙も、いつの間にか止まっている。
 ジーニアスは何か魔法を使ったのだろうか、と私は思う。
 ひとを『本当の意味で』安心させる、魔法のような何か。

「ねぇ、プレセアの『時間に取り残されたみたい』っていう感覚は、凄く怖いものなんじゃない?」

 私は、びっくりして、頷く。どうしてわかったんだろう。口に出しては、言っていない筈なのに。
 ジーニアスは、少し苦しげに笑う。

「考えたんだよ。ボクは、ハーフエルフだから……みんなより与えられた時間が長いんだ。何千年単位で生きていられる。だから、今はプレセアの気持ちが良くわからないけど、大人になって、おじいさんになって、みんなが死んじゃったら、きっと、プレセアと似たような気持ちになるんじゃないかって。そしたら、とても怖かったんだ。ボクには姉さんもいるからまだ良い方だと思うけど、もし、姉さんもいなくてボク一人だったら、とても堪えられないと思う」

 そうだ。ジーニアスも、いずれ『時間に取り残されてしまう者』の一人だった。私たちが死んでしまったら――私がパパを亡くしたときのような、酷くつらい時間を何千年も過ごさなければならないのだろうか。

「だから、つらいときは、つらいって言って欲しいんだ。できるだけ、力になってあげたいから……」

 涙が出た。さっきとは――恐怖からくる涙とは、違う。これが、『うれしなみだ』というものなのだろう。とても、とてもあたたかい。
 しかしジーニアスは、慌てて顔を紅潮させて、しかしとても心配そうに、私を見ている。

「ぷ、プレセア……?」
「大丈夫です。……ジーニアスは、優しいですね」
「え、そ、そんなことないよ! っていうか、偉そうなこと言っちゃって……」
「いいえ。うれしいです。……ありがとう、ジーニアス」

 そのときのジーニアスの慌てぶりがおかしくて、私はつい笑ってしまった。ジーニアスは一旦きょとんとしたけれど、私につられて笑い始めた。
 意味も無く、それでも、結構な時間をそうして過ごしていたと思う。



 その後、宿に戻るとリフィル先生から二人まとめてお説教をされた。罪状は諸々あるが――寄り道をして遅くなってしまったこと、長い間放置していたせいで食材を全部凍らせてしまったこと(ソディの瓶にまで霜が付いていた!)、食材を買い込みすぎてかなりのお金を使ってしまったこと、など――、どれも反論できるものではなかった。反論しようなんて気は、二人とも無かったけれど。お説教が終わったあと、ロイドさんに会うと、同情された。イセリア――シルヴァラントにある、彼らの故郷だそうだ――の学校にいたときは、こんなものではなかったらしい(そのあと、それはロイドだからでしょ、とジーニアスに突っ込まれていた)。



 でも、高台でジーニアスと話したことは、まだ誰にも話していない。
 もっとも、誰かに話そうなんて、思っていないけれど。



Fin. (C)KERO Hasunoha 初出:2005/03/23
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あとがき。
たまには男前なジーニアスもいいじょない。たまには乙女なプレセアもいいじょない。
パニック! - ゲーム攻略・裏技 -さま(当時は「ゲーム攻略・裏技」というサイト名でした)にて投稿。

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[ 2009/04/28 23:42 ] 小説系 | TB(0) | CM(0)

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