スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

まだまだみなぎってるよ! 

自重なんかしないよ! 勢いついてないとしぼみそうだからUPできるうちにしちゃうんだぜ! さて
再録を連投してきたわけですが、管理人の二次創作人生はこの作品を投稿することでいったん
終焉を迎えます。なぜなら、この頃私受験生だったんだわ。てなわけで、TOS二次創作です!
まさかのユアン×マーテルで、前後編仕様ですよ! ネタばれ考慮なし! 前編はこちら。

******
光射す彼方の君へ――テイルズオブシンフォニアより
******

 ――――たとえば君の望んだ世界のために、私は死をも受け容れる。

 私の答えに、クラトスはあからさまに眉を顰め、吐き棄てるように言った。

「それはエゴだ」

 絶対的な響きを持った声。しかし、こころなしか震えていると思ったのは、気の所為だろうか、それとも――。

「死人の為に、何が出来ると言うのだ」
「おまえは、そうして逃げてきたのだろう? ロイドのことや、アンナのことから――」
「逃げてなどいない!」

 首筋に当たったままの剣に、力が入るのがわかった。
 ゆっくりと見上げると、クラトスの顔は、哀しげに歪んでいた。


 あの時も。
 こんな風に、顔を顰めていた。
 ――あの、時も。


「逃げているだろう。私に止めを刺さないのが、その証だ」

 私の咽喉から漏れた一言。その予想以上につめたい響きに、クラトスの眉根が寄る。
 私は、その鳶色の瞳を真っ直ぐに見詰め、更に言葉を紡ぐ。殆ど無意識だったが、しかし、言葉はいつもよりもしっかりと、重々しく、氷のように静謐な響きとともに、フロア全体に反響する程、強い意志を持って紡がれた。

「おまえは怖がっているのだ。 ――失われた『いのち』について考えることを。失われてゆく『いのち』について考えることを。失われかけている『いのち』について考えることを!」

 言い終わるや否や、私は高密度のマナを溜めた右手をクラトスに向かって突き出した。ばちっ、と大きな音がして、クラトスは大きく吹っ飛んだ。剣も、運良く私の前髪だけをすこし掠って、首筋から離れた。――クラトスにしてみれば、完全な不意打ちだったのだろう。クラトスは身体を壁に打ち付け、剣を取り落とした。

「く……!」

 それでもやはり、すぐに足元の剣を取るあたり、流石四千年も剣を握り続けてきただけのことはある、ということか。とことん戦いにくい相手だ。
 やりにくい――。


「やりにくいなぁ……」

 ち、と舌打ちをして、まだあどけなさの残る少年――ミトスは、苦々しげに前方の一群を見た。けだるげな、しかしはっきりと聞こえる音を立てて、ミトスはその身に似合わぬ大剣――エターナルソードを構え、品定めするように相手の方を睨み付けている。

「大勢でかかって来る奴らは嫌いだよ」
「落ち着いてひとりひとりに集中すれば、あの程度の人数など造作も無い」

 ミトスの言葉を受けて、クラトスが落ち着いた口調で言う。クラトスもまた、一団を注視し、向かってくる相手の分析をしている。

「大丈夫だよ、クラトス。ボクは敵に背中を取られてビックリして、その弾みに転んで詠唱中断しちゃうような、何処かのドジッ子とは違うから。ねぇユアン?」

 明らかに棘を含んだミトスの言葉に、私は返答に困った。――というのも、ミトスの言ったことは先の戦闘で起きた紛れも無い事実であり、その後マーテルに治癒魔法をかけて貰わなければならなかった、という何とも弁解しようの無いオチまで付いていたからだ。

「そんな風に言わないで、ミトス。あなただって、失敗の一度や二度、あるでしょう?」

 優しい声音で、ミトスの姉――マーテルが諭す。ミトスは、その姉の言葉に、私に対するそれ以上の追撃を諦め、迷惑だけはかけないでよねー、と言い残してクラトスと共に前線へと向かっていった。反論できなかったのは自己嫌悪に陥るほどなさけなかったが、それでもマーテルの弁護は嬉しかった。

「ありがとう、マーテル」
「いいのよ、ユアン。あの子も、なんだかんだ言って貴方のことが好きなのよ」

 そうなのだろうか。むしろ私の感覚では、私はミトスに『姉を誑(たぶら)かす毒虫』としてしか認識されていないように思えるのだが。
 そうこうしている内に、前線の方がにわかに騒がしくなった。どうやら、ミトスが先制攻撃を仕掛けたらしい。

「行きましょう」

 私とマーテルはふたりで、小走りに前線へと近づいていく。マーテルは、ミトスとクラトスのダメージの具合を気にしながら。私は、ミトスとクラトスの間合いに入っていない敵を見定め、魔術詠唱に入る準備をしながら。じゅうぶんに敵の位置も味方の位置も把握できる距離まで来た時、ちょうどミトスが敵の剣士を薙ぎ払ったところだった。ちらりと振り向いて、ミトスは叫ぶ。

「姉さま! 危ないから下がっていて!」
「私は平気よ。ミトスこそ、怪我には気をつけて」

 姉思いのミトスらしい発言に、マーテルはその倍くらいの慈悲と愛情のこもった言葉で応えた。その姉の言葉を聞いたミトスは、また顔を前に向け、新たな敵に斬りかかっていく。その後ろ姿には、クラトスのような熟達した剣士には無い多少のぎこちなさがあったが、代わりに、じゅうぶん過ぎるほどの気迫が溢れていた。
 すこし離れて、クラトスが敵を薙いでいる。相も変わらず冷静で、相手は随分苦労しているように見える。
 しかし、そのクラトスの動きが急に鈍った。

「弓兵か……」

 私はそうひとりごちて、目を凝らす。敵陣の奥の方――ミトスとクラトスの間合いよりもずっと離れた所で、弓を構えている者が数名いた。そこから放たれた矢は、クラトスの足元に落とされ、その俊敏な動きを牽制したり、明らかにミトスを標的に、前衛の剣士とコンボを狙っているような飛び方をしたりしていた。

「――天光満つるところに我は在り、黄泉の門開くところに汝在り……」

 私の詠唱に気付いたのか、ミトスもクラトスも、相手にしていた敵を後衛の方まで押し込める。
 術の効率化を図るための、私たちの常套手段だ。

「――出でよ、神の雷!」

 目標ポイントは、後ろに飛んだ(飛ばされた)前衛と厄介な後衛を、一度に巻き込むことのできる、敵陣の中ほど。

「インディグネイション!!」

 私が叫ぶと、狙った場所と寸分違わぬ場所にドーム状の磁場が現れ、雷のマナを受けて帯電し、そのドーム内の敵を一掃するように天空から雷が落ちて来た。
 電気を帯びたマナが霧散しても、磁場の中にいた敵は、倒れたまま動かなかった。
 インディグネイション――雷系統の最強呪文。ハーフエルフという血筋の、ある意味でデタラメな魔力を持つ者が、それを行使したのだ。普通の人間は、ただの雷に打たれただけでも危険な状態に陥る。人為的に凝縮された『術』と言うカタチの雷を受けて、立っている方が珍しい。奇跡に近い。
 ふう、と一息ついて横を見ると、マーテルは柔らかに、しかし、すこしだけ悲しそうに笑っていた。――敵を倒すということは、そのモノの『いのち』を奪うということ。それを悼んで、彼女はいつも、すこしだけ悲しそうな顔をする。敵にまで降り注ぐ、慈しみ。こんなに心の広いひとは、マーテルくらいだろうと思う。

「お疲れ様」
「……え。あぁ、このくらい、大したことは……」

 刹那、彼女がくずおれるように、その場に倒れた。
 聴こえるのは、きぃん、という耳鳴りだけだった。見える景色はモノクロになり、それでも、瞬きなど出来なかった。
 彼女の背には、相当本数の矢が刺さり、傷からは血が溢れ出していた。

「姉さま!」
「……下劣な真似を……!」

 聴覚を取り戻したとき、ミトスとクラトスが走り出したのが見えた。その方向――先程の一団とは真逆の方向には、また新たな一団が構えていた。しかしおそらく、先程倒した彼らの仲間だろうことは、容易に想像できた。
 弓矢の形状が、全く同じだった。

「よくも……よくも、姉さまに怪我させたな! 人間なんか……人間なんかっ……!」

 半恐慌状態になったミトスが、前後の区別なく斬り払っていく。クラトスは援護に回り、ミトスを落ち着かせようと声を掛けるが、効果は無いようだ。
 結局ミトスは力押しで敵を全滅させた。
 しかし、マーテルは既に虫の息で――


「私は……」

 呟き、私はダブルセイバーを握り直す。

「もう、悔しい思いは、したくないのだ……自分のできることもせず、大切なものが失われゆく様をただ見ている……! あんな風に悔しい思いは、もう……たくさんだ……!」

 クラトスは、その意味を汲んだのだろう、先程と同じように、また険しい表情に戻った。
 あの時と、同じような顔に。
 私が、最愛の女性――マーテルを殺され、自暴自棄になり、どうしようもない感情のはけ口を探していた時、この男は、同じような顔で私を見ていた。

「今度こそ、終わりにするぞ……クラトス」
「……望むところだ」


 ――姉さま!

 何度も繰り返される、悲痛な叫び声。
 まだ声変わりもしていない、すこしうわずった感じの、あどけない声。

 ――姉さま、姉さま! 目を開けて!

 その姿を見守る、苦渋に歪んだ顔。
 普段は見せないような、苦しみに耐える、精悍な顔。

 ――姉さまぁ!

 碧色の、美しい女性。
 地に倒れ、もう二度と目覚めないという運命を背負った、愛しい女性。
 その指に光る、質素な指輪。

 ――マーテル……。

 私は、その名を呼んだ。
 かなしみ、あきらめ、くるしさ、せつなさ、やるせなさ、言いようの無い感情全ての詰まった、声。
 発した途端に、視界が歪んだ。
 頬を伝う、水の感触。
 払いもせずに、彼女の傍に跪く。
 抱き上げた彼女の身体。
 まだ、かすかなぬくもりが残っていた。
 ゆっくりと交わす、最後の口付け。
 明らかに意思の無い彼女の唇は、苦い、鉄の味がした。

 ――済まない……!

 もう少し、私の反応が早ければ。
 もう少し、油断なんかしなければ。
 もう少し、戦闘を早く終わらせていれば。
 もう少し。

 もう少し、彼女と長くいられたのに。

 ――マーテル……!

 そう呼んだ自分の声は、涙と後悔で嗄れていた。


「――インディグネイ……」
「――ジャッジメン……」

 同時に叫んだ呪文。それはお互いが持っている術の中で最強ランク。私は勿論、クラトスも本気で私を殺すつもりだったのだろう。しかし、ひとつ上のフロアから聴こえてきた独特の――精霊に打ち勝った時の、ぱぁん、という撃破音に声は掻き消され、どちらの術も発動しなかった。
 その意味するところを、私たちは悟った。

「……まさか!」

 私はその場をそのままに、遅れて走り出したクラトスに警戒しつつも、転移装置へと向かった。
 まさに、今、世界が再生される――私には、希望の光が見えた気がした。


Fin. (C)KERO Hasunoha 初出:2005/06/28
******
あとがき。
ほんと、このレベルの長さのを月イチ投稿してたとか、今じゃ考えられません。
パニック! - ゲーム攻略・裏技 -さま(当時は「ゲーム攻略・裏技」というサイト名でした)にて投稿。

******

ブログランキング参加中。
ブログランキングバナー
[ 2009/04/29 03:42 ] 小説系 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://phantomlake.blog58.fc2.com/tb.php/1137-3cae10b5


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。