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そろそろ終わるよ! 

今回も捧げものの晒し上げです! 二次創作ですが、他の人のオリジナルキャラでお話書きました。 
コレのシリーズに絵を描いて下さった渚さんに、お礼と称して送ったのの再録です。
キャラ設定なんかは、渚さんちにおいてありますが、未来設定なので注意!

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Several years After ―― She waited.
******

 アスファルトを蹴る靴音が、とても大きく響いた気がした。

 ゼィゼィと息を切らせて、私はほとんど衝動で走っていた。ああ、コレは後できちんとうがいしないと喉がやられる。冬の冷たい空気が喉を通るたび、鼻の奥が痛む。背中のギターが揺れてぶつかる。骨に当たると、それはそれは痛い。だから何度も担ぎ直しているけれど、どうもしっくりくる位置で安定してくれない。重みが偏っているから、右肩がもげそう。もしかして肩と背中は痣だらけなんじゃないかな? けれど、この痛みが貴重な時間に繋がるのなら、甘んじて受け入れよう。だって、遅れたら――。
「遅いっ!」
「だ、って、きょーこ、さ」
 ……ほらね、怒られた。でもね、こっちはライブ途中で抜け出してきたんだよー、ちょっとくらい斟酌してくれたっていいじゃないかー、と言いたかったけれど、息が切れてそれどころじゃない。ああ、畜生、歌うたいにこれはきついぜ。膝に手をつき腰を折り、ちょうどお辞儀のような恰好で、長身の彼女の前に立つ。
「まあ、遅刻3分以内だし、勘弁してあげるわ。おおかた、駅前から走ってきたんでしょう? お得意の原付はどうしたのよ」
「しゅー、り」
「ああ、そういえば壊れたって言っていたわね……大丈夫?」
 今更? とか、心配するの遅い! とか、言いたいところだけど、やっと呼吸が落ち着いてきたところでそんな勢いの必要なツッコミはできない。
「だいじょうぶ、あ゛――……ごめんなさい、久しぶりなのに」
「いえいえ。久しぶり。何か飲み物買う?」
「買う、うがいしたい」
「……いいけど、道の真ん中で『ぺっ』とかするんじゃないよ?」
「う……誰も見てなかったらいいんじゃない?」
 手近なコンビニを目指しながら、私と彼女は歩調を合わせる。
「前会ったのっていつだっけ?」
「誰のこと? 私?」
「あ、うん。キョーコさん」
 彼女の名前は白石キョーコ。相変わらずスタイルが良くてはきはき喋る。以前より服装が大人っぽくなったような気がする。甘めのトップスに、かっちりした感じのパンツを合わせてくるあたり、キョーコさんのセンスがうかがえる。少し長めのコートに白のマフラーと、小物も充実しているのに全然重い感じや野暮ったい感じがしない。そういえば薄く化粧もしているみたいだ。ちょっと会わないだけでこんなに違うところが見つけられるいきものなのだ、女の子とは。
「さーて、いつだったかねえ……お盆のあたりかしら?」
「てことは、うわあ、半年ぶりくらいになるのかな。キョーコさん、服装のテイストちょっと変わったね!」
「ああ、うん。まあ、仕事柄っていうかね」
「えっ、仕事してるの? 何の仕事?」
「ニート」
「は?」
「冗談よ。凪だって変わったでしょ」
 そうかな。そうかも。私のファッションセンスは高校の頃からあまり変わっていないと思ったけど。
「見事にパンクゴシックになっちゃって」
「えー、そんなことないよ!」
 そりゃ、ちょっと服装に黒とか銀とか増えてきたけど、今上に着ているのもお気に入りの黒のワイシャツ(銀刺繍で大きく繊細に花が描かれている)にレースタイだけど、下にはいてるのも暗めの赤チェックプリーツだけど、ブーツもぼってりしたのを愛用しているけど、そんなに激しく変わっているわけじゃない……はず……だよね? あれ、誰に確認しているんだろ?
 そうしているうちに、コンビニが見えてきた。
「そういえば、ここのコンビニに来るのも久しぶり――」
「そうねえ。まあ、ヤツが蒸発してからこっちのコンビニはごぶさただったからねえ」
「じょ、蒸発って」
「突然いなくなるんだもん、蒸発と同じでしょう」
「人が聞いたら誤解するよ!」
 他愛もないおしゃべりをしながら、コンビニの自動ドアをくぐる。いらっしゃいませー、と眠たそうだけど聞き覚えのある店員の声が――聞き覚えのある、コンビニ店員の声?
「あれ、浜島さん?」
「おろろ、そのギター背負ったちんちくりんは凪ちゃんかい? ずいぶんご無沙汰じゃないか、元気だったかい? あ、答えはきいてないけど」
「ちんちく……ていうか、『答えはきいてない』って、そのネタ、もう古くなってないですか?」
「何言ってんのよ。私の中じゃいつまでも現役よ。ジャスティスよ」
「……相変わらずですね。その調子じゃゲームもまだまだ現役ですか?」
「そしてそっちのうすらでかいのはキョーコちゃんだね。まーまー大人っぽくなっちゃって」
「そういう浜島さんは発言がおばさんっぽくなっていますね。でも、『うすらでかい』は私に対する形容詞じゃないはずです。今更DSソフトにはまっているんですか?」
「あー、なんか借りちゃってさー」
 がははと豪快に笑うのは、浜島美雪さん。くっきりとした顔だちの、威勢のいいお姉さんで、ポニーテールがよく似合う。大学を卒業して、そのままバイト先のコンビニに就職してしまったので、大学で得た専門知識はほとんど実生活に活かされていないそうだ。私服はすごくおしゃれなのに、コンビニで見る浜島さんはあまり可愛いとも格好いいとも言い難い制服を着ているため、なんだか残念な気持ちになる。
「で? あんたたちふたりが揃って来るなんて珍しいね。まさか」
「そのまさかですよ、浜島さん」
「え、嘘?」
「嘘じゃないですよ。これから向かうところです。ご一緒しますか?」
「なんだ、そうならそうと言えばいいものを……アタシ今日夜勤なの。後日うかがうと伝えて」
「わかりました。ところで、浜島さん、ペットボトル1本奢ってくれたりは」
「しない」
 きっぱりと言い切られ、ま、あたりまえですよねー、と肩をすくめるキョーコさん。このふたりが会話すると、どうも私のついて行けない展開になるのが常なのだけれど、今回だけは話が通じる。固有名詞がなくてもわかる。
 今更になって、すこし焦ってきた。
「浜島さん、これお願いします」
 手近な冷ケースから、適当なペットボトルを掴んでカウンターに出した。浜島さんは慣れた手つきでピッとバーコードを読んで、あくまでビジネスライクに言う。
「147円になります。150円からお預かりします。3円のお返しです。テープでよろしいでしょうか?」
「はい」
「ありがとうございましたー……よろしく言っといて」
「はい! 行こう、キョーコさん」
「はいはい」
 私たちはコンビニを出て、歩き慣れた、けれど久しぶりに歩く道を行く。
 この道を通らなくなったのは、この道の先のあるアパートの一角に住む人が、突然いなくなってしまったからだった。たまに行ってチャイムを鳴らすと「いらっしゃい」と声をかけてくれたその人は、ある時を境に忽然といなくなってしまった。その日以降、いつチャイムを鳴らしてもしんと静まり返っていて、私の知る限り、それから部屋の電気がついた夜はなかった。一度、その人が部屋の中で死んでいるんじゃないかと思って、キョーコさんと一緒に大家さんに連絡を取ったのだが、その人が死んでないこと、毎月家賃は納めてあること、つまりあの部屋がまだその人のものであることしかわからなかった。
 しかし、突然、メールが来たのだ。キョーコさんと私宛てに、面倒だったのか一斉送信で。
『長らくご無沙汰していました。今度の土曜の夜あたり、また前のようにウチでゲームしながらみんなでごはんでもいかがですか?』
 だから、キョーコさんに連絡を取って、ここまで来たのだ。
 見慣れたアパート、その一角、今まで明かりのついていなかったその部屋の、カーテンの隙間から光が漏れている。
「……本当に帰ってきてるね」
「本物かしら?」
「え、別の人だったりして?」
「行ってみればわかるでしょ」
 扉の前まで来た。今まで幾度も鳴らしたチャイムも、このときばかりはなぜか緊張した。ほどなく鍵の開く音、そして中から懐かしい顔の、その部屋の住人。
「いらっしゃい、凪ちゃん、キョーコさん」
 その文句すら懐かしい人に向って、私は思わず、

「お帰りなさい、青さん!」

 近所迷惑も顧みず叫んだのだった。


Fin. (C) KERO Hasunoha 初出:2009/2/3
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あとがき。
殆ど捏造設定だらけになってしまったいわくつき。
ほんと、他人様のキャラ使っておきながら未来設定って……申し訳なく思いながら送りつけました。
ちなみに『答えはきいてない』の元ネタは仮面ライダー桃太郎のリュウちゃん(ぁ)です。
『うすらでかい』の元ネタは、TOIと略されるRPGの緑の人。ネタを使っておきながら難なのですが、
元ネタの両方ともちゃんと知らない(電王見てなかったし、ゲームやってない)という体たらく。

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[ 2009/04/30 02:07 ] 小説系 | TB(0) | CM(0)

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