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ロミシンそのじゅうさん! 

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ロミオとシンデレラ――From a music, "Romeo and Cinderella" by doriko
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13.嘘つきすぎたシンデレラ

 家に入ると待っていたのは、心配していたのが全身からにじみ出ている彼と、今にも泣きだしそうな顔のパパ、ほっとしたような怒ったような複雑な表情のママ、そしていつもと変わらずニヤニヤ笑う妹の姿だった。
 案の定、私と彼はパパとママにこってりしぼられ、家族に対するいくつかの約束をとりきめられたものの、結局、やや気まずい雰囲気の中でも、お付き合いを了承してもらったかたちとなった。私はできるかぎり精一杯の謝罪と反省をし、もう二度と浅はかなことはしないと誓った。

 それからまたいくぶんか月日が流れ、私はパパや彼やルカさんと同じく、うたをうたう道に入った。私はうたえばうたうほど知名度が上がり、いつか彼とルカさんがうたったあの曲を、彼と私でカバーするのが夢になった。その彼とのお付き合いも長くなり、家族ぐるみの付き合いだけではなく、ふたりきりのデートやお泊まりもしやすくなった(パパは相変わらず歯噛みしているものの)。ルカさんとの交流も増えていって、世間から歌姫的な扱いをされている彼女とも「いつかあなたのポジションを奪ってみせるわ」「わたくしを超えるなんてまだまだ早くてよ」といい合える仲になった。余談だが、妹とレンくんも、喧嘩のたびにくっついたりはなれたりしながら、そこそこうまくやっているらしい(やっと最近感づいたらしいパパは、やっぱり歯噛みしていたが)。

 そうして、いつか、一緒に台所に立ったママが、ぽつりと漏らしたのだ。

「あなたが家出した時はどうなることかとおもったけれど、まあ、私の娘だし大丈夫よね、っておもったところもあったのよね」
「やだ、ママ。もう過ぎたことでしょう、蒸し返さないでよ」
「ふふ、ミクもパパのくれた大きなくまより、彼のくれた小さなプレゼントのほうがずっとずっと大事みたいだから、嬉しくて」

 私たち姉妹の部屋のベッドサイドに置いてあったキャラメル色のくまは、今や押し入れの中で息をひそめていて、代わりに、私が置いたのは彼からのこまごまとした贈り物を入れておくためのジュエリーボックス。ついでに、その隣には妹が彼とふたりで撮った写真が鎮座していた。
 そういえば、と、ここ最近気になっていたことがある。

「そういえば、初めてのデートの話とか、ママの若い頃の話とか、パパがきいてもいないのに教えてくれたけれど、ママとパパの結婚したきっかけの話って、きいたことがなかったわ。いちばんドラマチックなところなのに、なぜあのおしゃべりなパパが話さなかったのかしら」
「そりゃあ、カイトも話せなかったでしょうからねえ」
「あ、そのもったいぶった感じ。ねえママ、どんな感じだったの?」

 ママはくすりと笑った。

「あるところに、ずいぶん嘘をつく女の子がいたの。その子は、うたの仕事をしながら、ひとりの男のひとのところに通っていたの。でも、いつか嘘がお父さんとお母さんにばれて、家を飛び出した。仕事もつらくなっていたし、逃げ場が欲しかったのね、きっと。女の子は、家出して男のひとのところを頼ったの。すこしだけ頼りなかったけれど、包容力だけは抜群のひとだったから」
「……それで、どうなったの、そのふたりは?」
「女の子がかけこんできたら、その男のひとは、『じゃあ駆け落ちでもする?』って、遠くの町まで行ったの」
「す、ご……」
「でも、結局それには女の子の方が耐えられなくなって、もとの町に戻ってきて。お父さんとお母さんには怒られて、勘当同然だったの。でもね、その女の子は男のひとが大好きで、そのひともその子が大好きだったから、結婚させて下さいってお願いしたのね。まあ、結局――」
「結局? なに? どうしたの?」
「――おなかにこどもがいたから、その子の親も、結婚させざるを得なかった、ってところかな?」

 物語の結末、嘘をつきすぎたシンデレラは、オオカミに食べられたらしい。
 その彼もずいぶんと悪人でしょう? と、ママは笑った。

「もしあなたがあのまま嘘をつき続けていたら、今こうして穏やかにしていることもなかったかもしれないわね」

 でも、そうしてオオカミに食べられてしまうのも本望だとおもった私は、そのとき既にシンデレラの階段をのぼりきってしまっていたのだろうか。
 その物語をきいたのは、私の薬指に銀の指輪が光るころのこと。

12<< Fin. (C)KERO Hasunoha
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>>……おまけ?

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[ 2009/05/13 03:09 ] 小説系 | TB(0) | CM(0)

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