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救済した! 

丸投げしたはずの球を女王から打ち返されたので、今度は本気で剛速球放ろうと思って書いた!
そしたら完全ワイルドピッチになった。
イルカを救済したいと思ったんだ……。寸止めじゃ苦しかろうて。でもね、世界はそんな甘くないんだ。

時間軸的には、「55:食欲」の直後。……ばっか、おま、期待すんな! R指定なんかねえよ!
ふがいない私を笑ってくれ。これが限界だよ。珍しく女の子視点で書こうとおもったらこのザマさ!

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18:可愛い人――学園モノ書きさんに100のお題より
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 私の隣に身を横たえる獣は、先ほどよりも幾分か落ち着いて、それでも静かな涙は止まっていなかった。二人で並んで天井を眺める。触れている腕から互いのぬくもりが伝って、時計の音が耳についた。
「ごめん」
「謝るくらいならしなければいいのに」
「……ごめん」
「謝らないで。あなたいつから謝り癖がついたの」
「…………」
 違う、そこで黙らないで。あなたを責めたいのではないの。私は、あなたは悪くないのに謝らないで、と、言いたかったのだ。
 ついさっきの話、私は彼に押し倒された。ほとんど無理やりだった。きもちの準備なんかできていなかった。いつもより烈しい光を湛えたその瞳に、びっくりするほど力強い腕に、ぶつけられた本音の重みに――彼のすべてに、私は抗えなかった。
「私が、無神経だって、言ったね」
「あれはっ……その」
「確かにその通りだとおもうよ」
 これは私の落ち度でもある。ここ数日、彼の住む家に(半ば強引に)上がりこんでは、他愛のない話をして、食事をして、笑って、手を取って、口付けて。でも、その笑顔の空虚なことに気付いていながら、きちんと問い質せなかった。べたべたと触りたがって、ときに暑苦しいくらいにぎゅうぎゅう抱きしめてくるその頻度が減ったことを不審に思いながら、その理由を積極的に探ろうとは思わなかった。
 否、すこしは考えたのだ。たとえば世に言う倦怠期か、とも思った。しかし、今までが刺激なんてものに無縁な、むしろ常時倦怠しているような状態(と、恋多き女友達に称された)だったので、そういうわけでもなさそうだ。つい先日彼氏と別れたばかりの友人から、忠告という名のおせっかいに近い助言をいただいて、浮気だの二股だのなんだのと不安にならなくもなかったが、そのことを彼と共通の友人(というか、彼にとっては幼稚園以来の、私にとっては高校以来の、信頼できる無二の友人なのだが)に話すと「ベルーガにかぎって、それは、絶対、ない!」と断言された。私も彼がそんな器用なことができる人間ではないと知っている。
 だから、何が原因なのかはわからないけれど、とにかくそばにいて、話す気になったらいつでも話してもらえるように、と、思っていたのに。
「……誘っているようにみえた?」
 彼はびくりと肩を震わせ、子犬のような目つきで私を見た。
 触ってほしくなかった、といえば、嘘になる。だから、こちらから歩み寄っていったのだ。いつもなら彼からしてくることを――たとえば背中から抱きついたり、ふとした瞬間に唇を落としたり――、私からすることは、それまではあまりなかったことだった。けれど、友人たちの助言やら励ましやら冷やかしやらから、そうやって私から寄り添うことも必要なのだと諭された。
 でも、それが裏目に出た。
「……だって、すみれからちゅっとかぎゅっとか、あんまりなかったじゃない……」
 私に背を向けて、彼はその袖で涙をぬぐった。
「していいのかなって、かんちがいしちゃうよ……」
 消え入りそうな声で呟かれ、私までいたたまれなくなった。

 温厚、気弱、素直――人のいい、という形容を具現したような男、それが白石イルカの基本だと思っていた。実際、彼は温厚で素直ですこし気弱で、とてもとても人がいい。それに甘えていた部分もある。彼が求めないなら、それでいいのだ、と、彼に責任をかぶせて安心していた。
 私からあまり積極的に求めるのは、はしたないことだと思うと同時に、とても恐ろしいことだと思っていた。そう思うことには、私がそれほど積極的でない性質であるという理由もあるけれど、いちばんの理由は、あまりにも膨大なイフが多すぎるということだった。知らないこと、わからないことが多すぎるのに、誰も、何も、確定的な情報なんかくれない。恋愛における行為の終着点とも、または生命の出発点ともいえるその行為は、ほんとうに「やってみるしかない」世界の話だった。そして、私は、知らないこと、わからないことに、極端におびえる性質だった。
 わからないのは、たんなる方法の話だけではない。それが終わったあとのことも、わからないことの一部であり、私を悩ます大部分だった。
 初めて手をつないだときはどうだっただろう。初めて抱きしめられたときは。初めて唇で触れあったときは? その時々の幸福に身をゆだねながら、その先になにがあるか、いつもびくびくしていた。きっと、彼は、私がこんな風に不安を抱えていたことを知らない。悟られないようにしてきたから当然だ。
 だって、こんなにやさしくて、こんなにも、私を好いてくれるのがわかるから。

 それなら私は、この可愛い人を、どうやって慰めてあげられるだろう。
「いいよ。大丈夫。私はもう平気だから。イルカと一緒なら怖くないし、どんなことだって平気だよ」
 寝返りを打つように、身体ごと私に向き直った彼は、涙の止まった瞳で私を見据え、言った。
「うそつき」
 彼は顔をそむけた。その瞬間に、涙がひとしずく、シーツに落ちる。
「嘘つきなすみれなんて嫌いだよ」
 持て余した欲求と感情の高ぶりを隠すように、彼は私に背を向ける。
 私はその広い背にそっと手をあてがい、次いで額をすり寄せた。
「すみれ、やめてよ。またおれにかんちがいさせたいの。またおれに変なことされるよ、いいの」
 体を丸めた彼の背中、私の声はささやかに通り抜けていく。
「何もしないからかんちがいになるのでしょう」
「……すみれは、ばかだ。本当はおれよりばかだろ、すみれ」
「うん、私はばかだよ」
 自然と笑みが漏れた。これは自分に対する嘲笑だろうか。でも、不思議に穏やかな、この切なさは何だろう。そこにはいっそ大笑いしてしまいたいほどに、静かに高揚する心が潜んでいる。私のもてるすべての感情が、少しずつ織り混ざってできたような、いままでになかったきもち。それとも、これが、愛?
 彼の身体が起き上がり、横たわったままの私の身体に覆いかぶさって、その身の丈と同じ大きさの影をおとした。
「こんなおれで、ごめん」
「そんなイルカが、好きだよ?」
 彼の指が髪を撫でる。その唇が肌を食む。さきほどよりもゆっくりと、海に沈むようにしておこなわれた行為に、私たちは溶けていった。
 でも、もしかしたらその海は、涙でできていたのかもしれなかった。


(C)KERO Hasunoha
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あとがき。

こんなすみれちゃんはすみれちゃんじゃねえ! むしろイルカこのやろう! って思ったひとー。
すみませんでしたー(前回より心のこもらない謝罪

いや、男の子だもん、即物的でもいいじょない……エヴァネタになるけど、シンジだって劇場版最終
話で……ごにょごにょ。いいんだ、欲情するおとこにょこがすきなんだ。件のシンジのシーンだって、
むしろ好感度あがったくらいだし。ヘタレが欲情するとかわいいんだぜ!(開き直った

それはそうと、自分の上で男のひとに泣かれるって、どんな感覚なんだろうね。きっと一般的には
「うっわあこいつ情けねー!」って白けるんだろうな、と思いながらも、なぜかすみれちゃんの場合
母性が全面に押し出されてます。仕方ない、この話じたいが殆ど実体験乙みたいなもんだしな。

この前のとは違って、これはいろいろ話を聞きたい題材であります。特に女の人から。
どーも私の恋愛観というかそこらへんの具体的な話に関する観念ってずれてるらしいんだよな。
や、でも、逆に、大好きなおんなのこを押し倒しておいて自分が泣いちゃったって、男のひと的には
どうなんだろう……なんとなく心情は察せるけど、私も男じゃないからなあ。

コメントじゃはずかしいわって方は、秘密コメントとかメールとかメッセとかでお話くだしあ!

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[ 2009/05/31 00:21 ] 小説系 | TB(0) | CM(0)

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