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もらったー! 

ピアプロでなかよくしてもらっているたすけさんこと+KKさんからテキストいただいた! 至福!
うへえ、絵をもらったことは多々あれど、webでテキストいただいたのはたぶん初めてじゃないかな!
うれしいうれしい! なので、たすけさんから了承いただいたので、公開します!
なんと、カイメイです! いいだろいいだろ、うらやましーだろー!(基本的に自慢したいだけです
たすけさんはほんとにすごいモノカキさんなので、みんな読んでみるといいと思う!

あ、でも、幾ら素敵だからって言っても、無断転載とか無断引用とか、そういうのはやめてくださいね。

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HPNOTIQ HYPNOTIC ―― presented by +KK
******

うだるような暑さの中、こんな時にまでいちゃついているカップルの横を通り過ぎ、余計な鬱陶しさを感じながらも足早に家へと歩を進める。
目立つ外見を隠すための帽子で、既に頭の熱さは眩暈がするほどだ。
楽になるはずなのに全く楽じゃないのはどうしてだろう。
ヘッドフォンからは最近よく聴くようになったCMソングが流れていたけど、口笛を吹くような元気もない。
流れ落ちそうな汗を乱暴に拭って大股に歩く。

「あー・・・もう、暑いな・・・」

これでもかと言わんばかりに照り付けてくる太陽を睨みつけてやりたいところだけど、サングラス越しとはいえ、色素の薄い僕の目は直射日光には弱すぎるから、かざした手の上から睨むしかない。
果たしてそれが睨むと言えるのかどうかはわからないけど、この気分が少しでも楽になるならそれでいい。

さすがにずっと上を向いたまま歩いているわけにもいかず、前を向き直した。
無性に何かに当たり散らしたい衝動に襲われていたけど、街のポイ捨てを少しでも抑制しようと設置されているゴミ箱を蹴ることなんてできないし、街に少しでも緑をと植えられた木や花を蹴ることもできず、更に足を速めた。
何て僕っていい奴だろう、とか思ってる時点でいつもの自分の感覚じゃないんだけど、今はそんなことはどうでもいい。
とにかく、今は一刻もはやく帰って氷を食べたい。
手を洗って冷凍庫を開いて、そこから溢れ出る冷えた空気に当たりながら氷を一つ取り出して口の中に放り込む。
それから扇風機の前に陣取ってスイッチを入れ、その側部を手で掴んで「あー」と声を発したい。
誰かにみっともないと言われたって構うもんか。

「――あれ?」

気持ちよく現実逃避に走っていた思考が突然現実に戻される。
付けているヘッドフォンはノイズレスでほとんど周囲の音など耳に入らなかったはずなのに、突然再生されている音楽に混ざって何か別の音が聞こえてきたからだ。
立ち止まってヘッドフォンを耳からずらして首にかけると、風が吹いて汗ばんだ耳を冷やした。
――いや、違う。
実際に僕の暑さを吹き飛ばしたのは、風と一緒に運ばれてきた歌声だ。
都会の喧騒の中で、何故か僕には一瞬その歌声しか聞こえなくなった。
電気屋の開け放たれた自動ドアの向こうから聞こえる、何故ヘッドフォン越しに聞こえたのかわからないほど大きくない歌声。

僕はそれが誰の歌声なのかわかった瞬間、無意識のうちに全力疾走し始めていた。





HPNOTIQ
HYPNOTIC





「ただいま・・・!」

自分でも驚くほど馬鹿でかい声で言いつつ勢いよく玄関の扉を開けて、靴を脱ぎ捨てて段差に躓きそうになりながら、寝室にサングラスと帽子と荷物を放り投げて着替えもせずにそのままリビングに滑り込んだ。
扉を開くと、慌てていたせいか段差に派手に躓き、頭から飛び込む形になって、ものすごい勢いで椅子の足に頭をぶつけて視界に星が散った。
鈍い音が頭に響く。
あまりの痛さに声も出なかった。
我ながらとても情けない。

「お帰り、カイト・・・まーた変なことして」

思わず頭を抱えて蹲る僕の上から声が振ってきたのは、何とか涙を耐えているその時だった。
涙が自然と引っ込み、痛みも不思議と和らいで声の方を見上げると、榛色の優しげな双眸が僕を見つめていた。
電気に照らされて茶色の髪は赤みがかって見える。
呆れた表情をしながらも手を差し出してくれる辺り、やっぱり彼女は優しい人だ。

でも、俺がその手を取ると、メイコ・・・めーちゃんは違和感でもあったように俺の手を離した。
当然めーちゃんに引っ張ってもらうつもりだった僕はそのまま後ろにひっくり返る。

「いたっ!」

鈍い音と一緒に本日二度目の頭部への痛み。
場所が違うからと言っても痛いことに変わりはない。
何で離すの!?と不満の声を上げようとしたら、めーちゃんは自分の手を脱いだエプロンで拭きながら、「アンタ汗かきすぎよ」と冷たく言い放った。
確かに僕の手は汗ばんでいる。

「そ、そりゃあさ、朝からレコーディングで歌いまくってその後ジャケットの写真まで撮って疲れきってたのにこの暑い中めーちゃんに早く会いたいと思って走ってきたんですから汗もかいて当然だとは思いませんかめーこさん!!」

一息でまくし立てたせいで随分と息が切れてしまっていて、めーちゃんはそんな僕を黙って見ていたけど、突然ふき出した。
「それは悪かったわね、カイト」なんて悪気のない返答をいただいたけど、本気じゃないのはわかってる。
だって顔が笑ったままだし。
人を馬鹿にして・・・!と文句の一つも言いたくなるけど、言えた例がない。
今回の件は自分のファッションセンスのせいでもあるのだ。
夏用の薄い生地とはいえ、トレードマークともなってしまった青いマフラーを巻いているせいだと彼女は言いたいに違いない。
この暑さで首にこんなものを巻いてる人なんて僕ぐらいのものだ。
あとは半袖なのはよくても、そんなに暑いなら重ね着をやめたらいいのにぐらいは思っているだろう。

でも不思議なことに、めーちゃんが笑ってると何だか僕まで笑ってしまって文句も全部飲み込んでしまうんだ。
くすくすと笑ってるめーちゃんを見ていたら、やっぱり僕は一緒になって笑い出した。
そうやって笑いながら、ゆっくり立ち上がってその手を引こうとすると、伸ばした手を叩かれて「シャワーが先!」と酷く拒絶されたけど・・・。
でも、後で汗臭いとか言われた後で思い切り平手打ちを食らって無視されるのはごめんだったから、しょげながらも大人しく脱衣所に向かった。


++


着替え終わって脱衣所から出てくると、めーちゃんは僕のためにアイスを冷凍庫から出してきてくれる。
リモコンに手を伸ばしてテレビを付けると、ちょうど彼女の歌が使われているCMだった。
そう・・・これがあの時電気屋から聞こえてきた曲。
思わずチャンネルを変えることも忘れて――大好きなアイスを食べることも忘れて、スプーンを咥えたままで聞き惚れる。

僕もそうだけど、めーちゃんも歌手だ。
変装せずに外に出ようものなら囲まれる・・・僕もめーちゃんも、それぐらいの人気はあった。
でも、幸運なことに、今日はもう仕事は入ってない。
久しぶりに二人でゆっくりできるというわけだ。

CMが違うものに切り替わって、ようやくチャンネルを変えた。

「アイス溶けるわよ?」

めーちゃんがそう言いながら、見たことないお酒を持ってやってきた。
どうやら今日は昼間から飲むつもりでいるらしい。
テーブルにのせたままにしていたアイスは、めーちゃんの言うとおりクーラーのきいた部屋でも少し溶けかけていた。
カップも白く曇っている。
僕は一口分アイスをすくって、めーちゃんの方へと差し出した。

「んー・・・一口欲しいの?仕方ないなぁ」
「誰もそんなこと言ってないでしょ」

何言ってんのとか何とか言いつつ、結局口を開いてアイスを食べるめーちゃんは何ていうかもう可愛すぎる。
結局食べるのか!とかツッコミでもいれようものなら何を言われるかわかったものじゃないので黙っておくことにしよう。
でもぽろっと可愛いとか言ってしまって、照れ隠しでそっぽ向かれた。
髪の間から見える耳が赤くなっているところとか・・・是非自慢したいと思うほどに可愛い。
溶けかけたアイスをものすごい勢いで平らげて、僕はめーちゃんの方に擦り寄った。

「・・・何よ」

何よ、だなんて冷たい。
グラスに入ったアクアブルーの液体を飲みながら、めーちゃんはテレビに釘付けだ。
それが気に入らなくてテレビを消すと、少しだけ睨まれた。
自分で付けたのにどうして消すのってところだろうか。
気に入らなかったのだから仕方ない。

めーちゃんは僕の表情を見て思考を読み取ったかのように、こっちを見て膝をあけてくれた。
わざわざ正座をして。

「さっすがめーちゃん」
「おかげさまでアンタの考えてることなら大体わかるようになっちゃったわ」

空になったグラスにまた夏の暑さを吹き飛ばしてくれるような爽やかな色のお酒を注ぎながら、めーちゃんは満更でもなさそうに笑う。
その膝に頭を預けると、ふわっとトロピカルな匂いがした。
多分お酒の匂いだと思う。

「帰ってくる時・・・ヘッドフォン付けてたのに電気屋さんからめーちゃんの歌が聞こえてさ」

あのCMソング、と言うとめーちゃんは「ああ、あれね」と大して興味もなさそうに言った。
多分ヘッドフォンを付けてたのにという言葉はちゃんと聞いていなかったんだろう。
それでも構わず続ける。

「はやくめーちゃんの声が聞きたいと思って走って帰ってきたんだよ」
「さっきは顔が見たいって言ってなかった?」

こんな時ばかり人のあげ足とるのやめてくれないかな、と言いたかったけど、何だか眠くなってきて目を閉じた。
僕はめーちゃんの落ち着いた声が好きだ。
仕事中とは違って、他の人に見せるやわらかなだけの声とも違って・・・少し尖っている気がするけど、誰と話す時よりも落ち着いている優しい声。
歌声も、もちろん好きだ。
何だかんだ言いながら、僕はめーちゃんの声が好きなんだろう。
全部差し出したくなる頭に響く優しい声が。

薄く目を開いてめーちゃんを見ると、汗をかいたグラスに口を付けているところだった。
ああ、そういえば帰ったら氷を食べながら扇風機の前に陣取る予定だったのにすっかり忘れていたな。
今更そんなことを思い出しながら小さく笑った。

「――子守唄、歌ってくれる?」

その言葉にはさすがのめーちゃんも驚いたみたいで、喉を絞めてしまって少し咳き込んでいた。
何言ってるのと今にも文句が出てきそうな表情のめーちゃんに、にこりと笑いかけてから目を閉じる。

カタンと音がしたのは、多分めーちゃんがテーブルにグラスを置いた音だろう。
呆れたようなため息は、俺の言葉を承諾した証。
それからすぐにめーちゃんの落ち着いた声が聞こえた。
ヘッドフォンに入り込んできた、あのCMソング。

睡魔の波にたゆたいながら、心地良い歌声に身を任せる。
その声は、まるで催眠術でもかけようとするかのように僕の全身を駆け巡って、導かれるままに僕は意識を睡魔に手渡した。







hpnotiq
君の声は甘い催眠術。きっと捕らわれた僕は、もう逃げられない。

(C) +KK
******

+KKさん、素敵カイトさんとメイコさんごちそうさまでしたー! これで潤う……これでかつる!

[ 2009/08/13 20:29 ] 小説系 | TB(0) | CM(0)

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