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流星群もおわったので! 

結局オリオン座流星群を見られなかった管理人が、むしゃくしゃして書いた。後悔はしていない。
それから、勢いで「星たべよ」っていうおせんべいも、むしゃむしゃしてやった。おいしかった。
今回はそんなお話です(どんな

流星群が流れていたであろう時間帯(21日の01時~03時)に書いた、一晩クオリティだよ!
まさに、ジェバンニが一晩で(ry)。いや、ジェバンニ名乗るには程遠いクオリティだけどね!

……ん? 学祭? ああ、じつは14:30からの出番まではずっと暇みたいで……(笑

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093:Stand by me――文字書きさんに100のお題より
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 深夜23時をまわったころ、家族じゅうに一斉送信されたメールは、他のおうちにおよめに行った、長女からのものだった。
『夜遅くごめんなさい、ツインズはもう寝ているかしら? それはそうと、流星群がとてもきれいよ! きっとそっちも晴れているでしょうから、見てみるといいわ!』
 直後、ばたばたと階段を下りてきたのは、次女だった。次に、我先にと争うようにでてきたのは、三女と長男のふたりだ(このふたりは、ふたごなのだ。留学生活の長かった長女は、いつも彼らを「ツインズ」と呼んでは「一緒にしないで!」と怒られていた)。
 可愛い3人に囲まれて、一斉に「星が見たい」と言われたら、重い腰も上げざるを得ない。ほんとうなら、わがままなんて言わせずに寝かしつけないといけないのだろうけれど、高校生と中学生、思春期反抗期まっさかりの子どもたちが、せっかく懐いてきてくれるいい機会だ。今日だけだよとうそぶいて、近くの丘の上まで車を走らせた。目的地に向かう車中から、あっちに流れただのこっちに見えただのしていた子どもたちは、帰りの車の中ではみんなして目をこすりこすり、あくびを抑えることもなく、家に着いてからは素直に布団に入ったようだ。


 ところで、家族中で、ひとりだけ、この流星群を、一緒に見られなかったひとがいる。

「お母さん、おかえりなさい!」
「お父さんが寂しがってたよ!」
「徹夜でレコだったんだって? いい歳したひとに無茶させるよなー」
「いいトシしたは余計よ、母さんだってまだまだ現役なんだから」

 朝の食卓にみんなが並んでいる中、玄関からただいまと言って入ってきたのは、子どもたちのお母さん。つまりおれの奥さんなんだけど。ぷりぷりと怒ったふりをしている彼女は、それでもちょっとお疲れ気味のようだ。
 昨日の午前中からだったはずのレコーディングが、先方の不都合で半日もずれこんだというのだから、無理もない。半日無為に待たされて、夜通し歌ってきた彼女が、疲れていない方がおかしいのだ。いつもの席についた彼女の隣、長男にできたての目玉焼きを差し出しながら、おかえり、というと、ただいま、と微笑みが返ってきた。
 いつも思うけれど、うちの奥さんの笑顔は最強だ。結婚して20年以上経つけれど、いまだに可愛くてしかたがない。

「みんなはあさごはんしてるけど、どうする?」
「んー、とりあえず、この子たち出してから寝るわ」
「なにかたべる?」
「寝る直前にたべたら太るわ」

 それじゃあ、とりあえずホットミルクだけ、と、冷蔵庫から牛乳を出してあたためる(どうやら彼女のぶんで最後みたいだ)。ごはんをたべながらの子どもたちが、めいめいに母親に話しかけているのを背中に受けながら、なんだかんだいってみんな寂しかったんだなと笑みが漏れる。

「寝てきていいよー? クマとかできたらたいへんだし」
「そうだよ、今日は天気もいいから車で送ってもらわなくていいし、疲れてんなら寝た方いいよ!」
「……お前、天気わるくてもどうせ父さんに送ってもらうだろ」

 口々にでるのは、自分たちのお母さんへのいたわりだ。16歳のころからうたうたいをしている彼女は、体調以外にも体型や肌など気をつけるべき点が多い。同じようにうたうたいをしているおれの気の付けようとは比較にならないほど、女のひとは美容に気を使う。それについて彼女自身が努力している甲斐あって、彼女は同年代の誰よりもきれいな体型を維持している(と、思う。きっと欲目じゃないぞ)。その上で、更に娘たちは「きれいでかっこいい、私たちのあこがれのお母さん」を、できるだけ維持しようとしているのだ。涙ぐましいほどの母娘愛である。
 ちなみに、一見末娘に突っ込んだだけに見える息子の発言も、じつは的確なのだ。彼もまた、疲れて帰ってきた母親に車を運転させようなんて思っていないからこそ、わざわざ「父さんに」というのだろう(し、おれだって彼女にそんなことさせない)。

「みんな心配してくれてありがと。でも、せっかくあのひとが準備してくれているし、牛乳のんでからにするわ」

 あのひと、だなんて、いまさらよそよそしいな。子どもたちの前だからって、そんなに気張らなくてもいいのに。赤い模様のはいった大きめのマグカップにあたためた牛乳を注いで、彼女の前に置く。その間に、朝食をあらかた食べ終えていた子どもたちは、順番に席を立って食器を流しにいれたあと、洗面所へ向かう。

「そういえば、お母さん流星群見た?」

 最後に席を立った末娘が流しで手を洗いながらいった。マグカップに口をつけた彼女は、ホットミルクを喉に流し込む前に、もういちどマグカップを机に置いた。すこしだけ肩をすくめる様を見なくても、おれには(そしてきっと末娘にも)、彼女のこたえがわかっている。

「メールに気付いたのも今朝だったわ。そういえば昨日からニュースでやっていたものね。見れなくてほんとうに残念よ」
「昨日の夜ね、みんなで星見に行ったんだよ」
「あら、寒かったんじゃないの」
「毛布持ってったの」

 毛布より先に厚着させるべきでしょ、というような、すこし非難めいた視線がおれに注がれる。だいじょうぶだよ、いわなくてもちゃんと厚着していたってば。ちょっと笑ってみせると、腑に落ちないような顔で、彼女は末娘に向きなおった。……いわなくても、いちおう伝わったみたい、かな?

「流れ星、お願い事しなきゃなって思って、たくさんしてきたんだ」
「何をお願いしたの?」
「とりあえず、今日の英語の予習してないのがばれませんように、っていうのと、将来玉の輿にのって楽な人生送れますようにってお願いしたのは覚えてるけど、あと覚えてないや」
「ずいぶん現金ねえ」
「お姉ちゃんは、次の発表会うまくいきますようにってお願いしたみたい。あと、身長伸びますようにってお願いしてたやつもいたけど、正直どうかなあって思うよね」

 女の子ふたりがくすくすと笑いあう声をききながら、末娘のお願い事の内容に、ちょっぴり呆れる。それこそ、身長を気にしている末の息子と大差ない気がするのだが、本人たちはいたってまじめにお願いしたのだろうな。……うん、気持ちはわからなくもない。


 そうしてばたばたと子どもたちを学校へ送りだし、おれもひといきつこうと思って、みんなが朝食を食べていたテーブルの、おれの席に座る。彼女の真向かい、末娘の隣の席だ(……あ、ジャムがこぼれている。あれだけちゃんと拭きなさいといったのに)。

「おつかれさま」
「うん?」
「私の代わりに、お弁当もあさごはんも作ってあげたんでしょ?」

 まあね。でも、おれたちは共働きだし、時間も不定期だし、それこそ新婚の時はお互いでおべんとうを作りあっていたりもしたわけで(いま思うと、ちょっぴり恥ずかしい。娘たちには口が裂けても言えないことのひとつだ)。うちでは、ずっと前から家事はお母さんだけの仕事じゃないのに、あらためて言われると、こそばゆくなってくる。

「ねえ、流れ星、たくさん見えた?」
「うん。あの子がみんなにメールしたくなるだけあるなあと思ったよ」
「ふふ、よっぽどきれいだったのね。あーあ、スタジオに窓さえあれば、私も見れたのに」

 それでも、やっぱり外で見るのと建物の中から見るのはちがうと思うなあ。彼女は、もうぬるくなったであろうホットミルクをついばむようにして飲みながら、ふふっと笑った。
 ……やっぱり彼女の笑顔は可愛い。

「あの子はなにをお願いしたのかしらね」
「そうだなあ、おいしいお魚が安く手に入りますように、とか? あの子お魚好きだったから」
「あー、いいそうねえ。でも、私は、早く子どもができますように、とか、お願いしたと思うわ」
「それ、あの子のお願いじゃなくて、自分の願望じゃないの。孫がほしい、みたいな」
「そうかしら……でも、私まだおばあちゃんって歳じゃないわよね……」
「うーん……おれも、まだおじいちゃんにはならなくていいかなあ……」

 思わずふたりで真剣に考え込んでしまって、お互い笑い合う。伸びをしながら、いいなあ私も見たかった、と零す彼女も、もしかしたらお願い事を考えていたクチかもしれない。

「ねえ、もし流れ星見れたら、なんてお願いしたかった?」
「私? そうねえ、家族みんなが健康でいられますように、とか、できるかぎりこの仕事を続けられますように、とか……」
「月並みだなあ」
「その月並みな願いがどれだけ尊いお願い事だかわかってんのかしら」

 むう、とくちびるをつきだす仕草も、年齢を考えるとさすがに幼すぎるのだけれど、いまこの雰囲気だからゆるされると思っているのだろう(もちろん、ゆるすもなにも大歓迎のつもりだ)。彼女はすこし低い目線からおれをみつめてくるけれど、その視線すらやっぱりいとおしい。

「そういうあなたはどうなのよ」
「おれ?」
「そうよ、可愛い娘息子と一緒に流れ星を見たからには、ちゃんとしたお願いしたんでしょうね?」

 あ、やっぱり、一緒に行けなかったことを根にもってるみたいだ。でも、だからといってへんにご機嫌をとろうとしてもむだだっていうことは、きちんとわかっているつもり。できるだけ率直に、うそはまじえず誠実に。

「おれはね、次はちゃんとふたりで一緒に見られますようにってお願いしたよ」
「ふたりって、私とあなたと?」
「ほかにいないでしょ?」
「そういうことを言ってんじゃないわよ。どうせならみんなで見られますように、ってお願いすればよかったのに。なんで私とあなたとふたり限定なのよ」

 ぶうぶうとブーイングをはじめた彼女は、あきらかに不満そうだ。
 でもね、ちゃんとこれにはわけがあるんだよ。

「昨日のニュースでいってたけどね、昨日の流星群、近年じゃ昨日が観察のラストチャンスだったんだって」
「……帰りのラジオで聞いたわ」
「次にたくさん見られるのは70年後なんだって」
「それも聞いた」
「考えてもごらんよ。70年も経ったら、確実にこどもたちとは一緒にいられないとは思わない?」

 現にひとりおよめに行ったわけだし、末の子どもだって14歳だ。70年後には、子どもたちに孫ができていてもおかしくない。そういって含めなくても、彼女はふむ、といちおうの納得をみせた。

「でも、そしたら私たちだって生きていない可能性の方が高いんじゃないかしら」
「そこはほら、長生きできますようにっていう願いも込めてさ」
「なによそれ、結局自分も月並みなお願いをしているじゃないの」
「婉曲的な表現でお願いしているぶん、月並み度は低いと思うんだけど」
「内容は同じじゃないのよ」

 そうは言いながら、笑いをこらえきれない、という風に顔をほころばす彼女をみて、こちらもすこしだけうれしくなる。

「じゃあ、仮に、それまでお互い生きていたとして、その時まで離婚や破局しないっていう保証は?」
「……その仮定が最初にこなかっただけ、おれはしあわせといっていいのかな?」
「あたりまえじゃない。いまさら離婚なんて考えるくらいなら、もっと前に離婚してると思うわ」

 あ、ちょっと傷つく。そりゃあ、おれはちょっとヒモみたいな時期もあったけど、プロポーズはちゃんと稼げるようになってからだったし、結婚してからはがんばって働いているし、もうおれの収入が彼女の収入を下回ることなんてないのに。家事だってちゃんとしているし、家族仲も円満になるように心を砕いてきたし、子育て……は、おれのできないことも多かったけど。

「どうするのよ、私が『もうこんな家出て行く!』とか言って出て行ったら」
「かんたんに出て行かせないよ、絶対」
「強気ねえ」
「出て行っても連れ戻すし」
「すごく嫌がるかも」
「……ねえ、ほんとはおれのこと嫌いなの?」
「もしもの話でしょ」

 さあどうなの、と、いじわるく話を振ってくる彼女は、おれが困っているのを見てたのしんでいる。なんだ、一緒に流星群を見に行けなかった腹いせか。子どもたちと一緒に楽しめなかったのがそんなに悔しいか。きもちはわかるけれど、おれに矛先を向けるのは、やつあたりというやつじゃないの。
 それならこっちにだって考えがあるぞ。

「もしもそんなことになったら、」
「なったら?」
「……本気で土下座でもなんでもするかもしれない」
「なによそれ」
「こんなに可愛い奥さんを逃がしたくはないからね」

 そんなことになったら、なりふりかまってられないじゃないか。そういうと、それまで笑っていた彼女が、目を丸くして口を噤んだ。彼女は、「可愛い」といわれるのに弱い。ほら、耳まで真っ赤だ。なんて可愛いんだろう。笑った顔も可愛いけれど、こうやって恥ずかしそうに頬を染めている彼女が、おれはいちばん可愛いと思う。
 離婚なんてことにならないように、これからも心を砕きます。だから、ながれるおほしさまは一緒に見られなかったかもしれないけど、これからもずーっとおれの隣にいてください。
 そういうと、彼女は、赤くなった顔をこれ以上ないってくらい真っ赤にして、目を合わせずにこくりとひとつ頷いた。

(C)KERO Hasunoha
******
あとがき。

まあ、管理人がモノを書くとき、だいたいの場合、なにかしらに挑戦して実験的に書いてるものが
多いものですが、今回ばかりは、うまくいってるかどうかわかんないです。

今回読んでて、「あれ、これ二次創作じゃね?」って思った人。正解です。もともとボカロの二次創作
(ていうかカイメイ)のつもりで書いてました。珍しく、というか、初めての人間設定ですね。
でも、書きながらふと「人間設定だったら、ボカロわかんないひとでも楽しめるように書けばいくね?」
っていう天の囁きが聞こえた気がしたので、その瞬間から裏テーマが「ボカロを知らない人に見せたら
普通のほのぼの一家の物語になるように書く」になりました。それで、登場人物は誰も名前が出て
いないというわけ。
しかし、ほんとにそう見えているのかなあ……。ボカロじゃないと思って読んだ人、騙されてくれた?

******

以下、ボカロ二次創作寄りのあとがきになります。

書いてる途中、お父さんが奥さんのおなまえ呼びたがってしょうがなかったです。私の書くカイトは
メイコがだいすきすぎる。私のカイメイの理想が「万年新婚(きぶんの)熟年夫婦」だから仕方ないな。
カイトはきっと何年経ってもずーっとめーちゃんを可愛い可愛い言って甘やかすはずだ。

中年夫婦なカイメイもいいじゃない。20歳でお嫁に行くルカさんもいいじゃない。
青春真っ盛りの高校生な初音さんとか、やんちゃな中坊鏡音とかもいいじゃない。

ボカロで家族妄想は夢の味。

[ 2009/10/24 10:23 ] 小説系 | TB(0) | CM(0)

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